検査方法

すい臓がんが疑われる場合、下の図表にある流れで検査を行います。
すい臓がん患者さんのうち、50.8%の人は症状が出たことをきっかけに医療機関を受診し、15.9%の人は健康診断で、集団検診後の精密検査で10.5%、糖尿病の悪化が5.7%、その他17.1%と続きます。すい臓がんが疑われる場合は、症状の有無に加え、血液検査や画像、超音波検査などによって確定診断を行います。

すい臓がんの確定診断と検査の流れ

すい臓がんの確定診断と検査の流れ
『患者・市民のための膵がん診療ガイド 2023年版 第4版』
日本膵臓学会 膵癌診療ガイドライン改訂委員会(金原出版)などを参考に作成

検査項目の説明

  • 血液検査

    血液中の膵酵素(アミラーゼ、リパーゼ、エラスターゼ1)、腫瘍マーカー(CA19-9、CEA、DUPAN-2、SPan-1)などの数値が上昇していないかを確認します。

  • 腹部超音波検査(腹部エコー)

    腹部超音波検査お腹にプローブという端末機を当てながら、体内から返ってくるエコー(反射波)を画像化して、異常がないかどうかを見ます。

    腹部超音波検査
  • 造影CT検査

    X線を使って体を輪切りにした画像が得られるコンピュータ断層撮影のことです。がんの大きさや位置、周囲の臓器や血管、リンパ節への広がりを見るために、ヨード造影剤を使用することが一般的です。造影剤は静脈から注入されます。ヨード(ヨウ素)アレルギーの人には使用できません。

  • 造影MRI(MRCP)検査

    造影MRI(MRCP)検査強力な磁石の力を利用して体内の断面を撮影する検査のことで、造影剤を使用することにより、がんで胆管や膵管が狭くなっていないかどうかを確認できます。CTと違い、X線被曝はありませんが、検査時間は長くなります。ペースメーカー、入れ歯、人工関節など、体内に金属を入れている人には使えません。

    造影MRI(MRCP)検査
  • EUS

    超音波内視鏡のことで、内視鏡を口から十二指腸まで入れ、近くからすい臓を見ます。他の検査に比べ、より詳しく観察することができます。このとき、針で組織を吸引、検体を採取することもできます。

  • ERCP

    内視鏡的逆行性胆管膵管造影検査(ERCP)は、専用の内視鏡を口から入れて、膵管に造影剤を入れ、X線を使って胆管や膵管を直接造影する検査です。より詳細に膵管を観察できるとともに、胆液や膵液(検体)を採取することができます。この検査には麻酔が必要で、急性膵炎など偶発症の発生に注意が必要なため、入院が原則となります。

  • 病理診断

    病理診断EUSやERCPで採取した細胞や組織を、病理医が顕微鏡で精査します。確定診断をするには、超音波検査や造影検査による画像診断に加え、この病理診断によって正確な診断ができます。病理診断は、切除が可能かどうかをはじめ、抗がん剤の選択など、治療方針の決定にも必要です。
    なお、それでも判断がつかない場合には、腹部に穴を数か所開けて腹腔鏡ふくくうきょうを入れ、病理診断・進行度診断を実施することがあります。

    病理診断
次のページでは、「すい臓がんのステージ」についてご紹介いたします。