検査方法
すい臓がんが疑われる場合、下の図表にある流れで検査を行います。
すい臓がん患者さんのうち、50.8%の人は症状が出たことをきっかけに医療機関を受診し、15.9%の人は健康診断で、集団検診後の精密検査で10.5%、糖尿病の悪化が5.7%、その他17.1%と続きます。すい臓がんが疑われる場合は、症状の有無に加え、血液検査や画像、超音波検査などによって確定診断を行います。
すい臓がんの確定診断と検査の流れ
検査項目の説明
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血液検査
血液中の膵酵素(アミラーゼ、リパーゼ、エラスターゼ1)、腫瘍マーカー(CA19-9、CEA、DUPAN-2、SPan-1)などの数値が上昇していないかを確認します。
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腹部超音波検査(腹部エコー)
お腹にプローブという端末機を当てながら、体内から返ってくるエコー(反射波)を画像化して、異常がないかどうかを見ます。
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造影CT検査
X線を使って体を輪切りにした画像が得られるコンピュータ断層撮影のことです。がんの大きさや位置、周囲の臓器や血管、リンパ節への広がりを見るために、ヨード造影剤を使用することが一般的です。造影剤は静脈から注入されます。ヨード(ヨウ素)アレルギーの人には使用できません。
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造影MRI(MRCP)検査
強力な磁石の力を利用して体内の断面を撮影する検査のことで、造影剤を使用することにより、がんで胆管や膵管が狭くなっていないかどうかを確認できます。CTと違い、X線被曝はありませんが、検査時間は長くなります。ペースメーカー、入れ歯、人工関節など、体内に金属を入れている人には使えません。
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EUS
超音波内視鏡のことで、内視鏡を口から十二指腸まで入れ、近くからすい臓を見ます。他の検査に比べ、より詳しく観察することができます。このとき、針で組織を吸引、検体を採取することもできます。
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ERCP
内視鏡的逆行性胆管膵管造影検査(ERCP)は、専用の内視鏡を口から入れて、膵管に造影剤を入れ、X線を使って胆管や膵管を直接造影する検査です。より詳細に膵管を観察できるとともに、胆液や膵液(検体)を採取することができます。この検査には麻酔が必要で、急性膵炎など偶発症の発生に注意が必要なため、入院が原則となります。
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病理診断
EUSやERCPで採取した細胞や組織を、病理医が顕微鏡で精査します。確定診断をするには、超音波検査や造影検査による画像診断に加え、この病理診断によって正確な診断ができます。病理診断は、切除が可能かどうかをはじめ、抗がん剤の選択など、治療方針の決定にも必要です。
なお、それでも判断がつかない場合には、腹部に穴を数か所開けて腹腔鏡を入れ、病理診断・進行度診断を実施することがあります。