化学療法の副作用
化学療法では、使う薬によって副作用の症状は異なり、個人差もありますが、副作用が現れることが多いといわれています。治療を継続していくためにも、副作用について正しい知識をもち、医師や看護師、薬剤師と相談しながら適切に対処していきましょう。
主な化学療法の副作用をまとめた図表をご覧ください。
主な化学療法の副作用
化学療法の種類 | 副作用 |
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FOLFIRINOX療法 |
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ゲムシタビン+ナブパクリタキセル併用療法 |
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ゲムシタビン単独療法 |
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S-1単独療法 |
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『膵癌診療ガイドライン2022年版』日本膵臓学会 膵癌診療ガイドライン改訂委員会編(金原出版)を参考に更新
化学療法の治療法別 特に注意すべき副作用
FOLFIRINOX療法
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発熱性好中球減少症
感染の原因となる病原体を排除する役割を担っている好中球が少なくなり、体温が37.5度以上となることがあります。この状態を「発熱性好中球減少症」と呼びます。感染症に注意が必要です。
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骨髄抑制(白血球・好中球・血小板減少)
薬物投与後、3日~2週間で骨髄抑制(白血球・好中球・血小板減少)が現れます。ウイルスや細菌から体を守る役割を果たしている血液中の白血球や好中球、傷口の血をとめる役割を果たしている血小板などが減少します。感染症やけがに注意が必要です。
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手足のしびれ感
手足のしびれ感などの末梢神経障害が現れた際は、減薬または休薬を考えます。
ゲムシタビン+ナブパクリタキセル併用療法
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骨髄抑制(白血球・好中球・血小板減少)
薬物投与後、3日~2週間で骨髄抑制(白血球・好中球・血小板減少)が現れます。ウイルスや細菌から体を守る役割を果たしている血液中の白血球や好中球、傷口の血をとめる役割を果たしている血小板などが減少します。感染症やけがに注意が必要です。
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脱毛
治療開始2~3週間後から脱毛する人が増えてきます。毛は、治療が終了すると1~2か月で生えはじめます。
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手足のしびれ感
手足のしびれ感などの末梢神経障害が現れた際は、減薬または休薬を考えます。
ゲムシタビン単独療法
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骨髄抑制(白血球・好中球・血小板減少)
薬物投与後、3日~2週間で骨髄抑制(白血球・好中球・血小板減少)が現れます。ウイルスや細菌から体を守る役割を果たしている血液中の白血球や好中球、傷口の血をとめる役割を果たしている血小板などが減少します。感染症やけがに注意が必要です。
すい臓がん治療で現れる主な副作用と対処法
症状・副作用 | 対処法 |
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吐き気、嘔吐 | 予防的に吐き気止めの薬を服用。抗がん剤投与当日の食事は控え目にし、乳製品や脂っこいものは避ける。食事は気分のよいときに。 |
骨髄抑制(白血球・好中球・血小板減少) | 自覚症状はない場合が多いが、感染を起こさないように外出を避け、うがい、手洗いを励行。血小板が減少しているときには傷をつくらないよう注意し、入浴時に内出血などがないか確認を。 |
間質性肺炎 | 肺の間質という部分に炎症が起こる。発熱と息苦しさがあるようならすぐ病院へ連絡を。原因となった薬の投与は中止し、ステロイド薬を服用して炎症を抑える。 |
貧血、だるさ、疲労感 | 少しの活動でも疲れやふらつきを感じるときは休息を取り、外出や車の運転は控える。体がつらくない程度に家事や軽い運動は続けるほうがだるさが軽減されることも。 |
下痢 | ひどいときは下痢止めを使う。乳製品や刺激物は控え、脱水にならないようにイオン飲料などで水分補給を。 |
口内炎 | 治療前に歯科で口腔ケアを受けておくとひどくなりにくい。口の中を清潔にし保湿を心がける。香辛料の強い食事、熱いもの、硬いものは控える。 |
血管痛 | 点滴中に血管に沿って痛みがあるときは医療スタッフに知らせる。腕を温めながら投与すると軽減する場合もある。 |
色素沈着、手足症候群 | 皮膚が乾燥していると症状が目立ちやすく傷ができやすい。皮膚を清潔にし、こまめに保湿を。日焼けは避け、炎症がひどい場合は皮膚科へ。 |
手足のしびれ感 | 手足や口にしびれ感、ピリピリ感があったら、早めに担当医に伝える。 |
かすみ目、涙目 | 角膜障害、涙道障害が生じる場合もあるので、ひどい場合は担当医に相談のうえ、眼科を受診する。 |
脱毛 | 髪を短くしておいたほうが処理しやすい。帽子やナイトキャップを被ると髪の毛が散らばるのを防ぎ、脱毛によるショックを軽減できる。必要に応じてかつらやバンダナの利用を。 |
副作用について、以下のことを覚えておきましょう
- 副作用は、治療中、治療直後、治療終了数日後、などさまざまなタイミングで発現する可能性があります。常に自分の体調変化に注意しましょう。
- 副作用と思われる症状が発現し、化学療法を継続してよいかどうか不安な場合は、遠慮せずに医師・看護師、薬剤師に相談しましょう。副作用に対処する薬も使うことによって継続できることも少なくありません。
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下記のような症状が現れたら、速やかに治療を受けている医療機関に連絡してください。
- 38度以上の発熱・悪寒
- 呼吸困難
- 動悸や息苦しさ
- おさまらない空咳(痰の出ない咳)
- ひどい下痢
⇒前もって、夜間・休日の緊急時連絡先、連絡方法を医師・看護師・薬剤師に確認しておきましょう
⇒医療機関への連絡先は、携帯電話に登録する、または自宅のだれでもすぐわかるところに貼り付けておくようにしましょう。
副作用の時期と現れ方